医療法人社団翠松会たけだメンタルクリニック

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こどもの心のコラム

「こどもの心の発達外来」担当医師によるコラム。
お子様の状態を理解する為の情報を掲載しています。

不登校・ひきこもり

不登校(子どものひきこもり)を理解しよう(1)

不登校(子どものひきこもり)の原因は?

 不登校は子どもの間でよく見る現象です。文部科学省の統計によれば、現在わが国では小学生の1000人に3人くらい、中学生の100人に3人くらい、そして高校生の100人に1人から2人くらいの割合で不登校の子どもがいるのです。

 きっと大人は現代の子どもはなぜこんなに不登校になるのかと不思議に思うことでしょう。特に不登校の子どもを持つ親なら何よりもそれを知りたいと思うのではないでしょうか。現在のように学校でのいじめが子どもの不登校や自殺の原因として注目されている時代ならなおさらのこと、「いじめが原因では?」という懸念を込めて原因は何か知りたいのが親心だと思います。

 でもちょっと冷静になりましょう。原因と思われたクラスの「いじめ状況」を学校が本気で取り組んで改善させたとしても、学校へ戻れない子どもはたくさんいるのです。その場合、ではその不登校は子どもの心が弱いから生じたのでしょうか。「いじめが原因でないなら子どもの心の弱さが原因」という考え方はあまりにも短絡的で事実とは遠いものです。では親の養育に問題があったから子どもは不登校になったのでしょうか。そう決めつけられるような社会では「親なんてやってられない!」ですよね。

不登校(子どものひきこもり)という現象に関わる当事者は誰なのか?

 私は不登校の原因についてこう考えることにしています。≪学校に行かないのだから行きたい気持ちにさせてくれない学校に原因がある可能性はある。学校という社会に出ていけない子どもの気持ちは元気で学校へ行っていた頃の心とは違うという意味で、子どもの心に原因がある可能性はある。子どもの心といえば、子どもが最も強力に支えられ、かつ育まれ、最も長い時を一緒に生活し、なまの感情を最も多く交流しあった親が子どものこの事態に無関係なはずはない。すなわち、子ども自身を含めた皆が不登校という現象に関わる当事者である。≫と・・・。一つの原因を挙げてそれにかかわる当事者(例えば親や学校の先生やいじめた生徒あるいは不登校の子ども本人)を一方的に責めたてたところで、不登校の解決につながりはしないことを、不登校の子どもにかかわる大人はよく理解している必要があるのだと思います。

不登校(子どものひきこもり)とどう向き合うのか ―大人への2つの提案―

 そこで2つ提案があります。≪原因探し・犯人探し≫はひとまず横へ置いておきませんか。それよりも親も担任の先生も、そしてもし相談や治療に通っているならその主治医やカウンセラーも、まず当事者本人である子どもに目を向け、彼あるいは彼女のありのままの姿を見るようにつとめ、心からほとばしる言葉(実際にはほとんど語らない子どももいますがその歯を食いしばった沈黙も言葉です)を聞き、彼らのかけがえのない命のぬくもりを感じようとして大人自身の心を可能な限り白紙に近づけましょう、それが第1の提案です。きっと遠からず、そうしてくれた大人の心に子ども自身の本当の想いや考えや感情や心の傷といった様々な色が少しずつ映りはじめるのです。

 そうして、第2の提案です。≪わが子の不登校、これにぶつかり困惑し、混乱し、辛抱し、やがてそこから立ち直っていくという過程を創設することを通じて、親は親として子どもをありのままに認めることの意義を受け入れ育っていくのかもしれない、子どもの心はその経験を胸に成長しはじめるのかもしれない、そして担任教師は子どもを支え育むという柱を打ち立てずして教育はありえないことを実感し育っていくのかもしれない、こうして子どもとその周りの大人、皆が育つチャンスを不登校は与えてくれているのかもしれな。≫ こんなふうに考えてみませんか。相談も治療もこのことを目指し取り組んでいく営みに他なりません。子どもの不登校という事態だけに目を奪われず、可能な限り早く、こんな広い視野を持った子ども支援に変えていきましょう。

著者プロフィール

齊藤 万比古(さいとう かずひこ)
医学博士 サイコセラピー学会理事長 日本AD/HD学会理事長 前日本児童青年精神医学会理事長。

千葉大学医学部卒業。国立精神・神経センター精神保健研究所児童思春期精神保健部長、精神科部門診療部長、恩賜財団母子愛育会 総合母子保健センター愛育病院小児精神保健科部長を経て愛育研究所児童福祉・精神保健研究部部長、愛育相談所所長。数多くの臨床例に基づき発達障害と不登校について研究を重ねる。

平成30年4月より千葉県松戸市の医療法人社団翠松会松戸東口たけだメンタルクリニックにおいて発達障害・不登校の専門外来「こどもの心の発達外来」を担当。

【著 書】
「知ってほしい 乳幼児から大人までのADHD・ASD・LDライフサイクルに沿った 発達障害支援ガイドブック」「発達障害が引き起こす不登校へのケアとサポート」「ひきこもり・不登校から抜け出す」「注意欠如・多動症-ADHD-の診断・治療ガイドライン第4版」など多数。

「こどもの心の発達外来」のご案内

医療法人翠松会では、松戸東口たけだメンタルクリニックにおいて「こどもの心の発達外来」を開設しています。

「こどもの心の発達外来」は齊藤万比古医師による注意欠如多動性障害(ADHD)や自閉症スペクトラム障害(ASD)などの発達障害、不登校・ひきこもり、愛着の障害等でお困りの幼少期から児童期、思春期(3歳から17歳)までのお子さんを対象にした専門外来です。

齋藤医師の児童精神科医として長年の臨床経験と研究実績を活かし発達障害、不登校・ひきこもり、愛着の障害などお子さんのお困りの状態を総合的に理解しお子さん自身への診療と我が子の悩みや問題にかかわり続ける親御さんの心の成長をサポートしてまいります。

「こどもの心の発達外来」の特徴・予約方法・予約料など詳しくはこちらをご参照ください。